1972年(昭和47) 7月 島原半島の大雨

概況

7月3日から4日にかけて発達した低気圧が黄海を北東に進み、5日には日本海北西部に達し、その後中国東北区の低気圧に吸収された。この低気圧に向かって、太平洋高気圧の周辺をまわり、東シナ海方面から非常に湿った気流(湿舌)が吹き込んだ。
この気流におおわれた西日本では7月3日から6日にかけ局地的に大雨となり、各地で大きな被害が発生した。
7月9日09時、北海道根室沖にある986hPaの低気圧の東進に伴い、前線は北陸から朝鮮海峡まで南下し10日03時には九州北岸に達し、その後12日夜まで停滞した。この間、九州南西海上から西日本方面に湿舌が流れ込み、11日夜からは台風第7号、第8号の影響も加わって、梅雨前線の活動を一層活発にした。
注)7月6日を中心にした7月豪雨前半の大雨と9日すぎからの後半の大雨は性質が違うものである。
島原半島での被害は前半が多かったと考えられる。ここでは堤防決壊の時刻は特定できなかったので、すべての被害を記録する。

昭和47年7月11日09時,21時の天気図

被害

県内被害

前半の被害状況 後半の被害状況
死者 3人 2人
重軽傷 6人 10人
全壊家屋 2棟 12棟
床上浸水 89棟 366棟
床下浸水 988棟 1284棟
橋梁流失 15件 1件
堤防決壊 14件 3件
道路損壊 12件 102件

観測値

各地の日雨量(09時~09時)

6日 11日 12日 13日 14日
島原 231 44 191 55 -
雲仙公園 255 39 200 49 -
口之津 3 16 136 47 -
西諫早 12 69 222 22 -
五家原岳 20 87 204 25 1
大村 2 38 195 16 -
長崎 0 38 220 23 -

雲仙岳測候所の毎時雨量(7月)

  時\日 6日 11日 12日 13日 14日
1 0.5 3.5
2 0.5 3.0
3 0.5 2.5
4 4.0 0.0 0.0 2.0
5 1.0 1.0 3.5 5.5
6 2.0 4.5 24.0
7 0.0 0.0 6.5
8 0.0 4.5 5.0
9 0.5 0.0 3.0 5.0
10 0.0 0.0 10.0
11 1.0 0.5 9.5
12 21.5 1.0 0.0 16.5
13 11.0 6.0 7.5
14 24.0 7.5 2.5
15 87.5 0.5 15.0 4.5
16 60.5 9.5 6.0 1.0
17 1.5 4.0 5.5 0.0
18 0.5 2.5 19.0
19 4.5 14.5 0.5
20 26.5
21 0.0 32.5
22 0.0 12.5
23 6.0
24 0.5 5.5
日計 216.0 23.5 157.5 67.5 57.0
総計 216.0 305.5
1時間最大 103.5 32.5
同上起日時 14:30
~15:30
12日20:00~21:00

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